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昔は健康について考える余裕はなかった。今は違う。人生は長い。

免疫力める食習慣 




人生八十年は長すぎる?
後半生の健康に気を遣う

「先生、僕は歴史物が好きでよく読むんですが、昔は40歳を過ぎると”隠居”する人が多かったんですね」

「そうですね、かつては“人生50年”だったわけです。実際に、だいたい40歳を過ぎるあたりで病気をして、多くは治らないまま死んでいったわけです」

「“人間五十年、下天のうちをくらぶれば”・・・よく戦国物にでてきますね、織田信長が好きだったという、幸若舞の『敦盛』の一節です。人生は、人間の寿命は、わずか50年しかない。あまりに短くて、夢まぼろしのようだと」


「”人間五十年”というのは、昔の話だと思いますか?」


「えっ、どういう意味ですか? 今は人生70年、80年が普通の時代ですよ」


「平均寿命は確かに延びましたが、生物としての人間本来の寿命は50歳が限度です」


「50歳ですか? 本当に人間五十年だ・・・」


「厄年の40歳あたりで病気に罹りやすくなり、治りにくくなるんですよ。糖尿病や高血圧で血管が弱っていたり、初期の癌が体のどこかにできていたり。40歳を過ぎると免疫力も低下します。昔の人は、だから病気に罹ると治療法がないまま50歳前後で亡くなっていた。日本人の平均寿命が50歳を超えたのは昭和22年のことでした」


「そんなに最近なんですか」


「乳幼児の死亡率が高かったのも一因ですが、平均寿命が65歳を超えたのは昭和34年です。ですから、つい40、50年前までは一般の日本人に<健康>という考え方は浸透していなかったんです。健康なんて、たいして意味がなかった」


「本当ですか? 日本人は、<健康>について何も考えてなかった?」


「もちろん、健康という言葉はありましたよ。しかし、それは“病気を治す”という意味。病気が治ったから“健康になった”という程度のことでした。常に健康を維持し、人生を楽しむという今のような形の健康についての考え方が広まったのはごく最近のこと。“健康ブーム”と呼ばれる現象が起きてからです。健康ブームが起きたのは、寿命が延びたせいとも言えますね」



寿命が延びたから病気持ちは当たり前?


「今の平均寿命は男性が79歳、女性が85歳くらいです。人生の後半がずいぶん延びたわけですね。でも人生は長くなったのに、40歳を過ぎたあたりから昔の人と同じように、体にガタがくる。その点だけは昔と変わらない。だから健康により気を遣う必要が生まれたと」


「おっしゃる通りですね。医療の進歩や栄養が豊かになって、私たちは昔の人に比べると驚くほど長生きするようになった。しかし、それは環境が変わったのであって、私たちの体の作りは内臓も骨も昔の人と同じ。何ら変わらない。40歳を過ぎると遺伝子のミスが蓄積し、癌細胞が生まれ、それを食べる免疫システムが加齢で低下している。昔の人だったらそのまま死んだけれど・・・」


「現代人なら医療のおかげで死なない」


「そうです。だから、昔の人は“無病息災”と言いました。病気に罹らないで長生きしようと。今は、“一病息災”なんて言ったりしますよね。癌など、病気を一つ持ってるくらいは今どき普通のことで、それでいて、長生きしようという」


「“一病息災”という言葉は、まだ若い時に初めて聞いて、何だか後ろ向きの言葉だと感じたんですが、今は、いい言葉だなあと思いますね(笑い)。病気に罹らないで長寿をまっとうできる人なんて、ほとんどいません。病気の1つや2つは、抱えて生きてゆく。長寿社会の日本ですから、そういう人が大半だと思います。でも、そんなふうに病気で早死にするのは嫌ですよね。というか、そもそも病気になりたくない」


「病気については、3つのタイプがいるんです。第1は、病気に罹らない人。第2は、病気に罹っても元気に生きている人。できれば、第1のタイプがいいですね。今までの話でゆくと、現代人の多くは、第2の、病気になっても元気、というタイプです」


「3つめは?」


「病気になって死んでしまう人が、第3です」


「・・・それは、いやですねえ。第1の、せめて第2のタイプの人になるには、どうすればいいんでしょうか」


「第1、第2、第3のタイプは、それぞれが、体内に持っている、ある力の順番でもあるんです。何だか分かりますか」


「ええ、すぐに分かりました。免疫力ですね」


「その通りです」





第一章「人生八十年は長い?」/ 第二章「1トンを1年で食べ尽くす」/ 第三章「βグルカンの働き」第四章「温かい?」  



セレン

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